ご好評のツアーの様子 H1)飛鳥の古墳と壁画の謎に迫る

飛鳥の古墳と壁画の謎に迫る(2020.10.4)
   ~古墳の形や立地にコーフン! 古墳壁画の謎や被葬者を探る~


 今回のガイドコンセプトは「終期末古墳の立地に注目」。古墳にどんな方が眠っているのだろうかと想像を巡らすだけでも、とても楽しいものですが、古墳が造られている地形を注意深く観察すると、古墳巡りの楽しみが2倍になります。7世紀~8世紀初めにかけて造られた古墳を中心に飛鳥を巡りました。

[行程]
近鉄飛鳥駅→檜隈寺跡→四神の館→キトラ古墳→文武天皇陵→高松塚古墳附近(昼食)→
高松塚古墳→壁画館→中尾山古墳→天武・持統天皇陵→鬼の俎・雪隠→金塚古墳→欽明陵
→岩屋山古墳→近鉄飛鳥駅(約7.2キロ)


 暑くもなく寒くもない程よい曇り空のなか、38名の方に参加いただきました。新型コロナウイルス感染対策として、まずは検温の上、密にならないよう、少人数グループ10班に分かれ、スタッフ13名と巡りました。以下にそのガイド風景を案内します。


2受付の様子 3受付後概要説明

〈受付の様子 飛鳥駅前〉            〈受付後の概要説明〉
 明日香村の概要と終末期古墳の大半がその立地から見て、風水思想の影響のもとに墓所選定が行われていると思われます。今日のテーマはその古墳の謎を探ることです。
 概要を説明して出発。

4檜隈寺跡

〈檜隈寺跡〉
 2つの顔を持つ「檜隈」というエリアを説明
し、本ツアーのテーマに入っていきます。
 檜隈には東漢氏の本拠地としての檜隈と
皇族の陵墓地としての檜隈の二つの顔があり
ます。

 

 



5檜隈寺跡風水説明
 〈檜隈寺跡での風水の説明〉
    風水による立地の共通性が次のように
  あります。
  ・谷地を意識している
  ・山寄せの立地、背面カット、ずらしの
  工夫など、丘陵斜面の立地が多い
  ・天皇クラスの被葬者墓は尾根上の立地も
   あり
  などを説明しています。



  〈四神の館〉
  入館前に、終末期古墳の特徴やキトラ古墳について説明しました。
6-2.jpg 7四神の館館内

8キトラ古墳
〈キトラ古墳〉
 7世紀末~8世紀初頭の築造
円墳⇒天皇陵より格下の古墳の形
谷奥部密着型(山寄せの立地)天皇より格下
聖なるライン(1970年に岸俊男・京都大学教授
(当時)が指摘した南北軸。藤原宮中軸線の
延長上に7~8世紀の天皇陵や有力古墳が
線上に並ぶ。)上→皇族関係者?
 四神図・天文図が描かれています。
人骨・歯の鑑定⇒熟年男性
 では、被葬者は?
天武天皇の皇子説、高級官僚説、朝鮮半島王族説などがあります。


9いちごハウス

 〈いちごハウス〉
  キトラ古墳から栗原塚穴古墳に向う途中、
 奈良特産いちごのハウス園が広がります。
 (品種は、あすかルビー)



 

10栗原塚穴古墳
〈栗原塚穴古墳〉
 檜隈安古岡上陵(文武陵)として宮内庁が
治定していますが、真の文武陵は後で訪れる
中尾山古墳が有力です。
 聖なるライン上
 円墳、後期古墳
 風水の立地は見られません




11高松塚古墳
 〈高松塚古墳〉
 7世紀末~8世紀初頭に築造
 円墳⇒天皇より格下
 谷奥部密着型(山寄せの立地)
 聖なるライン上
  四神図・星宿図が描かれています
 人骨・歯の鑑定⇒熟年男性
   では、被葬者は?
  天武天皇の皇子説、高級官僚説、
 朝鮮半島王族説などがあります。


12高松塚壁画館
〈高松塚壁画館〉
 三密にならないよう壁画館前で石槨内部の模型と壁画の忠実な模写・模型を展示していることの補足説明をしました。





13高松塚壁画館前彼岸花



  高松塚古墳の南側の谷には、黄色に輝く
 稲穂と満開の紅白の彼岸花が疲れを癒や
 してくれました。




  中尾山古墳は谷奥部から突出した尾根に築造され、尾根の両側に懐が深い谷が
 広がります。
14中尾山古墳尾根築造 15中尾山古墳西側谷16中尾山古墳東側谷

        〈中尾山古墳〉
         7世紀終わり~8世紀初めの築造
         八角形墳、火葬墓
         谷奥部突出型⇒天皇クラスの立地 聖なるライン上
          では、被葬者は? 
         文武天皇の説が有力です。
17中尾山古墳手前18中尾山古墳奥

19野口王墓古墳
 〈野口王墓古墳〉
  檜隈大内陵(天武・持統陵)として宮内庁
 が治定
  鎌倉時代の盗掘の実見記である阿不幾乃
 山陵記(あおきのさんりょうき)より
  八角形墳、合葬墓、その内1名は火葬
 であることが確実視されています。
  谷奥部突出型⇒天皇クラスの立地
  聖なるライン上、東西軸線、
  聖なるゾーン内。
  被葬者は天武・持統天皇説が有力です。                                      

20鬼の俎21鬼の雪隠
〈鬼の俎・雪隠古墳〉
7世紀中頃築造
薄葬令の基準から考えると最上位に相当
東西軸線、聖なるゾーン内
鬼の俎の東側でもう一つの俎が発見されており、合葬墓の可能性もあります。
 では、被葬者は
 斉明天皇(初葬墓)・建王、蘇我蝦夷・入鹿?

 北側の丘陵に、野口王墓古墳、鬼の俎・雪隠、金塚古墳、平田梅山古墳が立地し、
南側に谷が深く入っています。
22野口王墓北側丘陵23鬼の雪隠南側谷


24-2.jpg
〈金塚古墳〉
 7世紀前半~中頃築造
 吉備姫王643年没
 日本書紀に壇弓岡に葬られた
⇒周辺に「真弓田」、「真弓細田」
 の小字
 檜隈陵(欽明陵)兆域内にある大型方墳
 岩屋山古墳と似た精緻な切石造の
横穴式石室
 東西軸線、聖なるゾーン内
 多くの専門家が被葬者には、古墳の規模、
精緻な石室から、斉明天皇の実母である
吉備姫王がふさわしいと考えています。

25平田梅山古墳
 〈平田梅山古墳〉
 6世紀後半築造
 檜隈坂合陵(欽明陵)として宮内庁が治定
 東西軸線、聖なるゾーン内、
 文献の記載に合致
 檜隈に位置
 欽明陵を五條野丸山古墳と考える専門家も
 多く、意見が分かれています。



26吉備姫王墓
〈吉備姫王墓〉
宮内庁が吉備姫王墓として治定した墓ですが、8m程度の円墳と考えられており、皇極・斉明天皇、孝徳天皇の母としては小さすぎます。
 多くの専門家が先ほどの金塚古墳を真の吉備姫王墓と考えています。



27岩屋山古墳登り口

 〈岩屋山古墳〉
 7世紀前半~中頃築造
 精美な切石造の横穴式石室
 聖なるゾーン内
 方墳だが上部は八角形墳の可能性有




28岩屋山古墳石室入口
  E字型の立地(尾根の左右にやや長い
 尾根が突出)
  被葬者は斉明天皇、舒明天皇、吉備姫王?
 と考えが分かれます。






29飛鳥駅解散
 〈近鉄飛鳥駅〉
  今までのツアーと違い、古墳が造られている
 地形を見て、どんな方が葬られているのかと
 考えるツアーになったことと思います。
  皆様、今日一日お疲れさまでした。





文・写真:生島 宏次

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