ご好評ツアーの様子(吉野~飛鳥)

吉野~飛鳥を結ぶ最短古道(2018.10.14)
   -藤原道長や本居宣長も通った壺阪越え
 日本最古の伝承放光仏とインド伝統石彫巨大観音像-



 壺阪越えは古代から吉野へ至る重要な峠越道で、宮滝への道です。中世には、大峯山修験者たちの道となり、その後も宇多天皇の宮滝行幸や、藤原道長の金峰山上詣等、平安貴族たちもしきりに往来するようになりました。江戸期には、吉野の蔵王堂への参詣と桜見物に来る一般庶民でたいそう賑わいました。本居宣長が逆に伊勢松阪から吉野を経由して、壺阪越えで飛鳥に向かった記録もあります。

〈行程〉
近鉄六田駅→旧吉野駅跡→柳の渡し→灌頂の滝→トノカイト遺跡→世尊寺→妙楽寺→
蔵王寺龍峯院護摩堂(昼食)→安産の滝→壺阪峠→壺阪寺→壺阪寺バス停→🚎→
近鉄壺阪山駅  (約8km)

 10月14日、昨夜からの雨もあがり天候にも恵まれ、少し汗ばむ程度の歩きやすい陽気でした。参加者20名 ガイド・スッタフ8名、午前10時前には、全員が近鉄六田駅に集合しました。


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近鉄六田駅構内スッタフ集合      近鉄六田駅前駐車場にて                      
 近鉄六田駅前駐車場にて、今日のコースについて説明をしました。参加者が揃った班から、4班に分かれて出発です。


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旧吉野駅跡にて               柳の渡し
 出発してすぐに、大正元年に開業し昭和3年まで利用されていた 吉野軽便鉄道の発着駅の旧吉野駅跡に立ち寄り、説明をしました。
 吉野川沿いの国道を柳の渡しへと歩きます。美吉野橋の西側に柳の木と灯篭・道標が残っていました。多くの人々が吉野川を渡っていった頃が偲ばれます。


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灌頂の滝                   比曽不動尊
 世尊寺へと向かう道中に、役行者ゆかりの灌頂の滝があります。不動尊をお祀りする祠に手を合わせ、橋の上から滝を見て、トノカイト遺跡へと歩きました。地域の人が皆で道路の清掃奉仕活動をしていました。ご苦労様です。


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                       トノカイト遺跡から世尊寺へ
 平成28年の5月に発見・登録されたトノカイト遺跡、現状は水田や畑地・宅地です。発掘調査は行われていませんが、採集品から飛鳥時代の比曽寺創建の、ものづくり工房跡だったのでないかと想定されています。


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世尊寺山門にて              史跡比曽寺跡にて
 比曽寺跡は現在、東西両塔の基壇と礎石、金堂講堂と考えられる礎石が残っています。聖徳太子の創建と伝えられています。世尊寺の名も古くは、吉野寺、比蘇(比曽)寺、現光寺、栗天奉寺、と呼ばれていたことなどについて設明しました。


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本山住職のお話し             世尊寺太子堂                
 貴重な時間を割いて、本山住職から直接にお話しをしていただきました。
 聖徳太子創建の寺46ケ寺の一つであること、三井寺の三重の塔のこと、吉野の地名の発祥の地であること、寺の名が5度も変わったこと、についての歴史や、本堂にお祀りされている仏像や寺に伝わる絵巻物についても詳しく解説していただきました。
 また、境内で育てている大山れんげや樹齢100年の百日紅に純白の花が咲くこと、聖徳太子お手植えの壇上桜(不老長寿の桜)や芭蕉の句碑などのお話しも聞くことができました。お土産に沙羅双樹の葉もいただきました。ありがとうございました。合掌


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本尊薬師如来座像             妙楽寺薬師堂にて
 妙楽寺薬師堂では、寺のご厚意により薬師堂の扉を開けて頂いて、ご本尊を拝見することができました。堂内にも昇って近くから拝見している方もいました。
 平安時代の作とみられる仏像3体は、「阿佐寺」から江戸時代初期に移されたと伝えられています。この阿佐寺は、現光寺の奥の院と伝えられていることについても説明しました。


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役行者像          蔵王寺龍峯院にて
 蔵王寺龍峯院の境内で昼食と休憩をしました。掃除の行き届いたきれいな境内で、椅子に座ってゆったりと昼食を食べることができました。不動明王と役行者像をお祀りしていました。


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安産の滝にて                安産の滝
 蔵王寺龍王院を出発してすぐに、安産の滝に着きました。阿佐寺の滝行場だったことや、この滝に打たれるとお産がしやすい・安産になるとの言い伝えがあることなどを設明しました。
 安産の滝を後に、壺阪峠へと歩きます。谷川のせせらぎの音や小鳥のさえずりを聞きながら、木立の中を通り過ぎる風を感じながら、一歩一歩登って行きました。


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壺阪寺の全景               壺阪寺入口にて
 壺阪峠から下る県道の途中に、寺へと降りる階段があります。壺阪寺の全景と石像群が目に入ってきます。広場で簡単な説明をしてから境内に入りました。


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慈母園と大講堂の前で          仁王門にて
 壺阪寺(正式寺号は南法華寺)は、大宝3年(703)元興寺の僧弁基によって創建されました。西国33カ所観音霊場の6番札所で、ご本尊十一面観世音菩薩像は眼病に霊験あらたかな仏として信仰され、眼病平癒を祈願するものも多く、園内には養護盲老人ホーム慈母園があります。
 お里・沢市の夫婦愛をうたった人形浄瑠璃「壺阪霊験記」の舞台としても有名で、夫婦観音像を安置した慈眼堂があります。


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大釈迦如来石像【壺阪大仏】       仏伝図レリーフ【釈迦一代記】と三重の塔
 大釈迦如来像と前立像は、インドでの奉仕活動のご縁から始まった国際交流・石彫事業の一環として制作されました。仏伝図レリーフは、南インド、カルナタカ州カルカラにおいて、延べ57,000人の石彫師の手によって制作されたものです。
 国指定重要文化財の三重の塔は、文明年間(1469~87)ごろのもので、落ち着きのある美しい塔です。


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大観音石像にて              壺阪寺より畝傍山を望む
 大観音石像は、インドハンセン病救済事業のご縁でインドから招来したものです。20mの巨岩を66個に分割して彫刻し、日本に運ばれ組み立てられました。
 この場所からは、北方への視界が開け、畝傍山から甘樫の丘、飛鳥の里も一望でき、矢田丘陵から生駒山も見えていました。


吉野から飛鳥を結ぶ最短古道
 好天に恵まれた秋の一日を、柳の渡しから世尊寺を訪ね、史跡比曽寺跡で往時を偲びました。世尊寺の本堂では住職のお話に聞き入り、聖徳太子が建立された寺が時代の変遷とともに寺の名も5度も変わったことなど、松尾芭蕉「世にさかる 花にも念佛 まうしけり」 の句が思いを伝えています。
 妙楽寺から安産の滝へ、壺阪峠を目指して登っていきました。お客様も峠越えを楽しんで下さっているようでした。峠からの下りの道から見えた景色は、ここまで登ってきた疲れもふっ飛ぶような素晴らしい眺めでした。
 壺阪寺は、お寺のパンフレットにも記されている「思いやりの心を 広く深く」のもとに福祉事業と国際交流を展開し、木像と石像を融合させた寺院として発展しています。壺阪寺からバスに乗って、近鉄壺阪山駅で解散しました。
                   
 参加者の皆様のご協力により楽しい古道ツアーとなりました。ありがとうございました。


文 写真 ガイドグループ 奥田八尋

ご挨拶

奈良まほろばソムリエの会        ガイドグループ

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奈良まほろばソムリエの会

奈良に精通する人材を認定する「奈良まほろばソムリエ検定」(奈良商工会議所主催)の最上級「奈良まほろばソムリエ」の合格者をはじめとする奈良を愛する人々の集まりです。