トピックス(葛城の道)

葛城の道―古代の大豪族・葛城氏の本拠地を巡る(2017.11.5)

今回のテーマは葛城氏に注目してゆかりの地を訪ねることでした。
奈良盆地西南部の金剛山や葛城山の山麓部に勢力を誇っていた葛城氏の奥津城と、葛城氏にかかわる巨大集落遺跡、葛城氏が連れて帰った捕虜を始祖とする渡来系氏族の忍海氏の氏寺を巡りました。

<行程>
近鉄御所駅→室宮山古墳→南郷遺跡→長柄神社→長柄公民館→長柄小学校→一言主神社
→高丘宮跡→地光寺跡西遺跡→地光寺跡東遺跡→角刺神社→近鉄忍海駅(約10キロ)

11月5日(日)、快晴のもと18名の参加者とガイド3人、サポーター3人が近鉄御所駅に集合。早い人は8時半過ぎに到着していました。常連の参加者も初めての参加者も気兼ねなくお話ししている内に集合時刻の9時半になりました。
近鉄御所駅集合風景
   <近鉄御所駅集合風景>

バスで宮戸橋まで行き室宮山古墳に向かいました。室宮山古墳は5世紀初頭に築造された全長238mの前方後円墳です。葛城氏の祖、葛城襲津彦が被葬者として有力視されています。後円部に二つの竪穴式石室があり、調査された南石室には竜山石製の長持形石棺があります。懐中電灯を用意して石棺の中を覗きました。
女性の方は1人では来ることができないからと楽しみにしていたようです。
室宮山古墳石室見学
  <室宮山古墳石室見学>            

下街道を南下して、1992年、圃場整備事業に伴って発掘調査がされた南郷遺跡へ。現在はのどかな田園風景が広がりますが、かつては葛城氏に関わる武器生産の特殊工房や首長の居住地でした。出土状況の写真を使って説明します。
南郷遺跡遠景
    <南郷遺跡遠景>         

西に向かって集落の中を行き、長柄神社へ。ご祭神は記紀神話に登場する下照姫命で、俗称姫の宮といわれています。地名の由来はゆるやかで長い葛城山の尾根を意味する長江(ながえ)が長柄(ながえ)になり音読して‘ながら’となりました。境内入口には近くに実家がある堺屋太一さんの献灯した石灯籠があります。
長柄神社
      <長柄神社>

長柄公民館で昼食後、メインガイドの河井さんによる葛城氏と南郷遺跡群についての座学です。系図をもとに葛城氏と天皇家との関係や、各遺跡の出土状況・復元予想図など資料を用いて詳しい説明がありました。メモを取る参加者が大勢いました。
長柄公民館で座学
   <長柄公民館で座学>

公民館から北に歩いて5分程で長柄小学校です。校内敷地で竪穴式住居や石垣を伴う堀の遺構が検出されました。復元された2列の石垣とそれにはさまれた濠の写真を見せながら説明です。竪穴住居は葛城氏の居館と推定されています。
長柄遺跡説明
    <長柄遺跡説明>

さらに一言主神社まで北上していきます。葛城の神と言えば忘れてならないのは一言主神です。記紀では雄略天皇と一言主神の出会いの場面が記されています。古事記と日本書紀とで扱いが違うため葛城氏と天皇家との関係がどうであったのか説が分かれます。
一言主神社
     <一言主神社>

第2代綏靖天皇宮跡の伝承地・高丘宮跡までは自然豊かな古道を通ります。襲津彦の娘であり、仁徳天皇の皇后磐之姫命が、故郷を偲んで詠んだ歌「つぎねふ 山背川を 宮上がり・・・我が見が欲し国は葛城 高宮 我家のあたり」の‘我が家’はこのあたりとされています。
高丘宮跡
      <高丘宮跡>

地光寺跡まではさらに一時間程歩きます。汗ばむ陽気でしたが、時折吹く風が心地いいねと話しながらゆっくり歩きました。「地光寺跡」は鉄生産に関わった渡来系の忍海氏の氏寺とされています。
山麓線をはさんで西の地光寺旧跡の石碑がある北側が、8世紀前半の四天王寺式伽藍配置とされる西遺跡です。
地光寺跡西遺跡
    <地光寺跡西遺跡>

東の脇田神社境内には東塔の心礎が残っています。
東西二つの寺院は出土瓦などから7世紀末頃東遺跡が建立され、8世紀前半には西遺跡に移されたと考えられています。
この遺跡で注目を浴びたのは鬼面文軒丸瓦が出土したことです。鬼瓦ではなく軒先を飾る瓦です。県内でも珍しく、瓦のデザインは葛城市歴史博物館のシンボルマークになっています。
地光寺跡東遺跡
    <地光寺跡東遺跡>

最後は角刺神社です。第22代清寧天皇が崩御されて後継者探しをしている間、飯豊皇女が王権の政務を執った忍海角刺宮跡とされています。しかし執政期間は短くわずか10ヶ月で崩御されました。飯豊皇女の両親はいずれも葛城氏の血をひいています。
角刺神社
      <角刺神社>

葛城氏について豊富な資料と写真を用意し、参加者にわかりやすい説明があったことは好評でした。
歩数計が18000歩越えた方は、興味深い内容で充実した1日だったと話されました。
16時半には全員、近鉄忍海駅で解散しました。

文 写真 ガイドグループ  寺田麻美
プロフィール
奈良をよく知り、奈良を愛するボランティアガイドのグループです。奈良の本当の素晴らしさを皆様にお伝えします。 奈良観光のご相談も、お気軽にどうぞ。

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